マダニとダニは違います
マダニとは、普段よく耳にするダニとは別の種類で、大きさも違います。 ダニの大きさは約0.2〜0.4mmほどですが、マダニは2〜3mm以上あり、また、血をいっぱい吸っている状態ではなんと100倍から200倍の体重になります。 ダニは一般に布団や畳の中に住み人のアレルギーの原因になる以外には、病原体を運ぶことはほとんどありませんが、マダニは様々な病原体を運んでくる恐ろしい可能性があります。
マダニの生態
マダニは季節に関係なく1年中存在しています。 とくに5月〜9月の間が多く厳重な注意が必要です。 マダニは人工の公園などにはおらず、自然公園や山などの草むらに潜み、そばを通りかかった人やペットに飛びつき体表へ寄生します。 マダニはハラー器官という独特の感覚器官を利用しています。ハラー器官は動物の熱や振動、二酸化炭素を感知して動物が近くに来たことを知るのです。 皮膚を突き刺す口器とよばれる器官は、皮膚と皮下組織を切開する「鋏角(きょうかく)」と、その傷に差し込まれるギザギザの歯がついた「口下片(こうかへん)」から構成されます。 ノコギリのようなクチバシを皮膚にさしこみ、セメントのような接着物質を分泌し皮膚に固定します。 次に吸血と唾液の分泌を繰り返しますが、これにより周囲の組織が破壊されます。 最初はゆるやかな吸血、その後は急速な吸血を行います。
マダニを取るときは注意が必要
吸血中はペットとガッチリ固定されているため引っ張ったくらいでは取れません。 1週間以上吸血が続くこともあります。 この状態で無理に引きちぎってしまうと口の部分が皮膚内に残り、化膿してしまう危険性もありますので注意が必要です。 化膿だけではなく、まれに人畜共通感染症を起こす病原菌を持っていることがありますので、自分で取ろうとせずに病院へ行くようにしましょう。
マダニ被害
マダニは寄生期間中に吸血前の体重の100倍もの血液を吸うので、大量に寄生を受けた場合には貧血が見られます。 皮膚の細菌感染
皮膚に寄生したマダニを犬が除去しようとして掻いたときにできる傷で細菌が感染する事があります。 ダニは吸血する時に動物対内に唾液を注入します。 これによって動物がアレルギー状態になる事があります。
マダニが原因の感染症
重症熱性血小板減少症候群(SFTS)
発熱や嘔吐、血尿・血の混じった慢性的な下痢を繰り返すようになる新型のウイルス(致死率10%)2012年に日本で確認がされた。
バベシア症
犬などの赤血球に寄生する原虫で、感染したマダニが動物の血を吸うときに動物の体内に唾液を注入する事により感染します。 貧血、発熱、食欲不振などを起こし、急性例では死亡する事もあります。
ライム病
ボレリアという菌をマダニが血を吸うときに犬などにうつします。 発熱、全身性の痙攣、起立不能、歩行異常や神経過敏などの症状がみられます。人にも感染します。
その他
Q熱、ヘパトゾーン症、野兎病、日本赤斑熱、ダニ媒介性脳炎などの病気も媒介します。
予防と駆除
樹木が多い場所を歩くときには、草むらを避け、茂みの中に踏みこんだり、地面や岩壁に直接座ったりしないようにしましょう。 肌の露出を控えめにして、防虫スプレーをするなどの対策も有効です。 万が一、マダニが吸着していることに気づいたら、自分で引きはがさず病院で切除してもらいましょう。 無理にとるとマダニの刺口が残り、感染がさらに起こりやすくなります。
散歩から戻ったらまずはチェック! 特に頭や耳、目のふち、お腹、足の指の間、背中などをよく見てあげましょう。 見つけたらすぐに近くの動物病院で診てもらいましょう。
マダニ寄生とマダニ媒介性疾患を単独で100%防御する方法はありません。 いろいろな防除法をとることで最大限防除できるように普段から心がける必要があります。